「ものづくりは人づくり」そして「思い出づくり」
「建設産業の原点はものづくりである」「ものづくりは人づくりである」「業種横断的な教育訓練を共同で行う必要がある」という専門工事業や設備、建設関連業の有志が抱いた熱い思いから、この富士教育訓練センターは誕生しています。
静岡県富士宮市根原にあった旧建設省建設大学校朝霧校の施設29棟と敷地約5万uを活用し、訓練施設の運営を担う団体として設立した全国建設産業教育訓練協会が静岡県知事から職業訓練法人の認可を受け、平成9年4月に富士教育訓練センターが開校しました。開校から今日に至るまで、行政機関、会員団体など関係各位のご理解とお力添えを賜りました。あらためてお礼申し上げます。
本年(令和3年)で開校から24年目を迎えました。教育訓練実績は年々増え続け、平成30年度には開校当初の約3倍の約5万7000人日に上りました。懸案だった老朽施設の建替工事もすべて完了し、訓練に集中でき、安全で快適な施設に訓練生を迎え入れる態勢が整いました。さらに一層の事業の発展を目指しておりましたが、昨年度からのコロナ禍の影響を受け、全国から訓練生を迎え入れる広域的教育訓練施設の宿命として計画通りの実施が困難となり、会員団体の皆様、訓練生を派遣していている企業等の皆様はじめ、多くの皆様にご迷惑をお掛けしております。感染防止対策は万全を期していますが、ワクチンの接種が進み、集団免疫が得られるまでは耐えるしかありません。どうか、ご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。
今、建設産業は、大きな岐路に立っています。直面する課題としては、コロナ禍による景気低迷で産業界の建設投資意欲が落ち込まないかという懸念です。また、コロナ禍で十分な教育訓練が受けられなかったことから技能の低下を来していないかという心配もあります。団塊の世代の引退者の代わりとなる人材の補充・育成はどうか、建設業で特例的に認められている長期間労働の上限規制への対応は進んでいるのか。大きな課題ばかりです。
中長期的には、少子高齢化が進み、建設産業の就業者数が大きく落ち込んでいくことが予想される中、限られた労働力で、求められる品質、納期、価格、安全性に対応できる施工を実現し、生産性を上げる必要があります。このためには、技能者、技術者一人一人の生産性を高めることは必要不可欠ですが、これは一朝一夕には叶いません。地道な教育訓練が近道です。教育訓練にはまた、技能者・技術者の自らの仕事に対する自信や誇り、やりがいを育てるという側面もあります。
建設産業は、今こそ一丸となって「人づくり」を加速させなければなりません。私ども富士教育訓練センターは「人づくり」を通じて、建設産業の一層の発展に寄与してまいりたいと考えています。そのためには、当センターの行う教育訓練が、利用者の皆様から高い評価を頂けることが大切と自戒しています。どうか、今後ともご支援、ご協力をお願い申し上げます。
最後に若い人たちに一言。雄大な富士山のふもとにある当センターで、「ものづくりは人づくり」であることを学んでください。教育訓練を受ける皆さんにとって、「ものづくり」は、単に物を創造するだけではなく、職業人としての人格を形成するのだということです。これから始まる建設業の仕事で、訪れるいろいろな場所、いろいろな人々との出会い、そうした「思い出づくり」の1ページを当センターで作ってください。
職業訓練法人 全国建設産業教育訓練協会
富士教育訓練センター会長 山梨 敏幸
センターのあゆみ
1994
- 平成6年末
- 建設専門工事業及び建設関連業の全国団体の中から技術者技能者の教育訓練の必要性と、自ら実施しようと云う声が高まり、これらの推進団体が教育訓練の実施について数回にわたり意見交換を行った。
1995
- 平成7年7月27日
- 拠点的教育訓練施設を設立する母体として、専門工事業・建設関連業の全国団体14団体で、建設産業共同教育訓練協議会を設立した。
- 平成7年11月1日
- 静岡県知事より人材育成プロジェクト団体の指定を受ける。
1996
- 平成8年10月1日
- 東海財務局より(財)建設業振興基金へ建設大学校静岡朝霧校跡地、払い下げになる。
- 平成8年10月2日
- 職業訓練法人の許可を受けるため、建設産業共同教育訓練協議会の参加団体22団体で全国建設産業教育訓練協会を設立した。
- 平成8年11月1日
- 静岡県知事より、職業能力開発促進法に基づく職業訓練法人の許可を受ける。(施設名:富士教育訓練センター)
1997
■開校式
- 平成9年3月28日
- 開校式を行う。
- 平成9年3月31日
- 静岡労働基準局長より、労働安全衛生法に基づく技能講習の教習機関の指定を受ける。
- 平成9年4月1日
- 教育訓練を始める。
- 平成9年12月1日
- 基幹技術者。多能工等育成基金を創設。
1998
- 平成10年3月31日
- 初年度(平成9年度)教育訓練人日、目標20,000人日を超える。
2000
- 平成12年3月28日
- 建設大学校静岡朝霧校跡地開発計画のうち、道の駅朝霧高原、土木研究所朝霧環境材料試験場がオープン。
- 平成12年3月31日
- 平成11年度教育訓練人日、25,000人日を超える。
2001
- 平成13年4月5日
- 教育訓練修了者、10,000人日を達成。
2002
- 平成14年9月
- 教育訓練修了者、15,000人日を達成。
2003
- 平成15年10月
- 教育訓練修了者、20,000人日を達成。
2004
- 平成16年3月31日
- 平成15年度教育訓練人日、30,000人日を超える。
- 平成16年3月31日
- 静岡労働基準局長より、労働安全衛生法に基づく技能教習の登録教習機関となる。
2005
- 平成17年6月7日
- 教育訓練修了者30,000人を達成
- 平成17年11月16日
- 厚生労働大臣より「優良認定訓練実施団体」の表彰を受ける。
2006
- 平成18年3月31日
- 平成17年度教育訓練人日、36,000人日を超える。
2007
- 平成19年3月31日
- おかげさまで開校10周年を迎えました。
2008
- 平成20年3月31日
- 平成19年度教育訓練人日、39,500人日を超える。
2010
- 平成22年7月26日
- 富士宮市との「災害時における施設使用に関する覚書」調印式
2011
- 平成23年11月〜
- 東日本大震災、被災離職者に対する委託教育訓練の実施
2年間で約500名の受講修了者
2013
2014
- 平成26年2月14日
- 山梨県及び静岡県東部豪雪を記録。施設一部倒壊
道の駅に立ち往生した帰宅困難者、約30名を受入、宿泊、食事、風呂を提供。
- 平成26年3月31日
- 平成25年度教育訓練人日、44,000人日を超える。
- 平成26年6月2日
- 高木国土交通副大臣、来訪視察
2015
- 平成27年3月31日
- 平成26年度教育訓練人日、48,000人日を越える。
- 平成27年9月16日
- 富士教育訓練センター建替工事「共用棟・宿泊棟」起工式の実施
2016
- 平成28年2月15日
- 富士教育訓練センター広報紙「朝霧高原の風」創刊
- 平成28年3月31日
- 平成27年度教育訓練人日、51,000人日を超える。
- 平成28年10月1日
- 石井国土交通大臣、来訪視察
2017
- 平成29年1月12日
- 富士教育訓練センター建替工事「共用棟・宿泊棟」竣工式の実施
- 平成29年3月30日
- 富士教育訓練センター建替工事「新本館・教室棟」安全祈願祭の実施
- 平成29年3月31日
- 平成28年度教育訓練人日、52,000人日を超える。
- 平成29年5月29日
- 富士教育訓練センター開校20周年記念式典を開催
2018
- 平成30年3月31日
- 平成29年度教育訓練人日、55,000人日を超える
- 平成30年4月1日
- 富士教育訓練センター新本館・教室棟の供用開始
- 平成30年9月28日
- 富士教育訓練センター建替工事「新本館・教室棟」の竣工式を開催
2019
- 平成31年3月31日
- 平成30年度教育訓練人日、57,000人日を超える
2020
- 令和2年3月31日
- 令和元年度教育訓練人日、年度末のコロナ禍が影響し54,727人日と前年度を下回る
- 令和2年4月1日〜6月28日
- 新型コロナ感染症の防止のため、開校以来、初めて臨時休校を実施
2021
- 令和3年3月31日
- 令和2年度教育訓練人日、コロナ禍による臨時休校などの影響から13,148人日にとどまる
- 令和3年10月8日
- 富士教育訓練センター、静岡県の「ふじのくに安全・安心認証(宿泊施設)」の認証を受ける
- 令和3年11月8日
- 斉藤国土交通大臣、来訪視察
2022
- 令和4年2月8日
- 東京事務所、板橋区熊野町、東京躯体会館から文京区湯島に移転
- 令和4年3月31日
- 令和3年度教育訓練人日、前年度に続き、コロナ禍の影響から28,024人日にとどまる