会長あいさつ
100万人日達成を新たなスタートに 建設業に役立つ存在であり続ける

富士教育訓練センター(以下、訓練センター)は、平成9年の開校以来、「ものづくりは人づくり」という信念の下、技術者・技能者の教育訓練を実施してまいりました。その成果として令和6年3月に累積実績が100万人日に達しました。これもひとえに会員団体、訓練生の送り出し事業所はじめ関係機関など、多くの皆様のご支援・ご協力の賜と心より感謝申し上げます。
今から約30年前、建設専門工事業団体・有志がバブル経済崩壊後の建設業界の厳しい状況を踏まえ、将来的に技術者・技能者がいなくなってしまうのではないかという強い危機感を抱きました。そして「建設産業の原点はものづくりである」「ものづくりは人づくりである」「人づくりには教育訓練が必須である」「業種横断的な教育訓練を共同で行うためには現場での実技研修が可能な施設を確保する必要がある」との共通認識を持ち、その熱い思いから訓練センターを実現させたのでした。
施設の実現だけでなく、時を経て今眼前にした「100万人日」も先人たちの熱い思いが達成させたものです。わたしたちは、これを新たなスタートとして「人づくり」への熱い思いを持ち続け、さらに未来に伝えていかなければなりません。
今、わが国は、全産業で人材の確保がたいへん難しくなっているのはご承知の通りです。出生数の激減、高齢者の退場と生産年齢人口の減少が今後一層顕著になってくることは明らかです。産業間、あるいは国を超え国家間の人材獲得競争が激化するでしょう。
こうした中、建設業は現在、国を挙げて担い手の確保に向け、処遇改善や働き方改革、生産性向上への取り組みを進めています。また、技能実習に代わる新たな外国人材受け入れの制度として「育成就労」が始まろうとしています。さらに外国人だけでなく、女性や高齢者といった多様な人材の活用も従来以上に求められているのです。
あらためて言うまでもなく、技能者の技能の維持・向上、技術者のマネジメント力の向上は、施工の効率化、生産性の向上、安全の確保につながります。また、ものづくりに関わる発注者、総合工事業者、専門工事業者が互いにリスペクトし合い、コミュニケーションを円滑化させることは、生産性向上などはもちろんですが、建設業という産業の未来に向けて最も重要なことではないでしょうか。
また、未来を担う学生、生徒など若い人たちに建設業の役割、建設技能・技術の素晴らしさ・面白さを知ってもらう、社会人としてのマナーなどを身に付けてもらう―、そうした役割も訓練センターは果たしてまいりたいと考えています。
多様な人材を育成するためには、教育訓練は欠かせません。教育訓練は選ばれる産業、選ばれる日本の一つの要素にもなるはずです。ものづくりに関わるさまざまな人たちが集う場である訓練センターは、「ものづくりは人づくり、そして思い出づくり」の信念を持って、教育訓練の観点から建設業を精一杯支援し、皆様方のお役に立つ存在であり続けるよう努めてまいりますので、どうか、訓練センターを積極的にご活用ください。
職業訓練法人 全国建設産業教育訓練協会
富士教育訓練センター
会長 山梨 敏幸