優勝は大野辰也さん(左官工業藤原組・広島)に 日左連が第50回全国左官技能競技大会を開催

 日本左官業組合連合会(日左連・石川隆司会長)は9月21日から23日まで(ただし、24日に表彰式)、東京都内で全国左官技能競技大会を開きました。大会は今回で50回目を迎えています。全国各ブロックから選出された8人と、会長推薦の2人の計10人が参加し、3日間をかけて課題に取り組み、その結果、大野辰也さん(左官工業藤原組・広島)が優勝しました。大野さんは「この感激を忘れず、心を磨き、技を修め、左官業の発展に努めていきたい」と謝辞を述べました。

優勝した大野さんの作業の様子

 課題は、浅草寺の雷門をモチーフにした「左官神門」(高さ2・4メートル、幅2・6メートル、高さ0・8メートル)で、「伝統工法と現代工法を取り入れ、選手の挑戦意欲が沸く」(荒木富士男審査委員長)高度なもの。柱は砂壁、天井見切りなどは焼き石膏置引き、天井などは漆喰と、課題の部位ごとに作業仕様が決められていました。選手たちは3日間計21時間20分という制限時間の中、一心に完成を目指しました。

材料を自ら用意
持ち込む道具にも制限がある

 競技会場では、採点表と鉛筆を持った審査員が、施工法、正確さ、外観、作業態度などの観点から4段階で評価するため、選手たちが作業を進めているすぐそばで、のぞき込んだり、腰をかがめたりしながら、じっくり出来栄えを点検していました。時には1人の選手のところに、2人の審査員が立ち止まることもありました。また、ギャラリーも初日から4日間を通じて数多く訪れ、選手たちの作業を見守っていました。

日頃鍛えた技を発揮

 4日目の表彰式の開会あいさつで、石川会長は課題が「最高難度」だったとした上で「この挑戦を機に左官の第一人者になるよう、さらなる精進と努力を重ね、ますますの活躍を期待する」と呼び掛けました。荒木審査委員長は「期待以上の作品を造ってくれた。レベルが高かった」と選手たちをたたえ、「塗り壁が減少していく中でも、左官の技能は受け継がれている」と話しました。

 来賓の左官業振興議員連盟(会長・石破茂総理大臣)から平沢勝栄衆議院議員があいさつ、「厳しい課題の中、本当によく頑張っていただいた。文化の継承者として頑張っている皆様に敬意を表する。世界一の職人となって活躍してほしい。全力で左官業を応援する」と祝辞。

準優勝の黒木さんの作業の様子

 この後、表彰式では、優勝した大野さんには内閣総理大臣賞、国土交通大臣賞、厚生労働大臣賞、東京都知事賞、長八賞など数々の賞を授与されました。準優勝の黒木賢太郎さん(黒木左官工業所・宮崎)には国土交通省不動産・建設経済局長賞、厚生労働省人材開発統括官賞、日左連会長賞など各賞が、3位の片岡孝史さん(西谷工業・埼玉)には建設業振興基金理事長賞、日本建設業連合会賞、全国建設業協会賞など各賞がそれぞれ贈られました。

3位の片岡さんの作業の様子

受賞者は次のとおり。

 ▽優勝=大野辰也さん(左官工業藤原組・広島)▽準優勝=黒木賢太郎さん(黒木左官工業所・宮崎)▽3位=片岡孝史さん(西谷工業・埼玉)▽4位=谷本光祐さん(谷本業務店・愛知)▽5位=濱田修さん(濱田工業・東京)▽6位=宮下崇さん(宮下工業・石川)▽努力賞=木村達也さん(中屋敷左官工業・北海道)、鈴木義明さん(鈴壱・神奈川県)酒井健一さん(酒井建装・長野)、青山和希さん(和栄・香川)▽審査員特別賞=木村達也さん(前出)