楠田不動産・建設経済局長が視察 フルハーネスの吊り下がりも体験

 国土交通省の楠田幹人不動産・建設経済局長が7月22日、静岡県富士宮市の富士教育訓練センターを視察しました。施設や訓練の様子を視察するとともに、フルハーネス型安全帯を装着し吊り下がりも体験しました。楠田局長は「できればもっといろいろな方々に訓練センターに来ていただくことができないだろうか」と感想を述べました。

 当日は、楠田局長、伊勢尚史大臣官房参事官(建設人材・資材)、近藤陽介建設振興課専門工事業・建設関連業振興室長、小杉恵大臣官房参事官(建設人材・資材)付企画専門官の4人で、いずれも7月1日付けで着任したばかり。

 出迎えた全国建設産業教育訓練協会の山梨敏幸会長は、訓練センターでは国土交通省の総合職技術系新規採用者の研修を実施していることを「光栄に感じています」と謝意を表した上で、研修の際には「発注者、ゼネコン、職人の3者がリスペクトし合わないと良いものは絶対にできません。少しでも職人の大変さを感じ取っていただき、温かい言葉を掛けていただきたいという話をしています」と紹介しました。続いて、加賀美武専務理事がパワーポイントを使って、訓練センターの施設概要、設立経緯などを説明しました。

見える化天井を見上げる

 食堂で訓練生と共に昼食をとった後、訓練センターの米良力校長の案内で、教室、共用棟の浴場、機械室などの他、この日行われていた仮設工事や型枠工事の実習なども見学しました。

設備ユニットを見学する

 機械実習場では、フルハーネス型安全帯の装着体験をしました。訓練センター教務部の國光秀則課長から墜落防止器具の変遷、海外と日本の違いなどの説明を受けて、さっそくフルハーネス型安全帯を装着し、足場から吊り下がりました。合わせて胴ベルトでも吊り下がり、それぞれの“痛み”を体験しました。「以前は胴ベルトで現場に出ていたと思うと…」「体験では吊り下がると分かっているが、実際は受け身を取らずに落ちる」などと感想。

フルハーネスを装着
フルハーネスで吊り下がりを体験する楠田局長

 視察後の意見交換では、楠田局長は「工事の一連の過程を経験できることは貴重。こういう訓練ができるということを若い人にどんどん情報提供して、できればもっといろいろな方々に訓練センターに来ていただくことができないだろうかと思いました」、伊勢参事官は「多種多様な工種にたくさんの訓練生が来ていて、あらためて建設産業の裾野の広さを実感することができましたし、多様な人材を育成されていることを、見て知る良い機会でした」とそれぞれ述べました。

 また近藤室長は「こういう落ち着いた環境で学んで技を付ける施設があるということは、建設産業に支えられている消費者の側からも安心できることです。これからも続いていけば、処遇の改善などと組み合わせて、建設産業に入りたい、入ってよかったと思えるようになっていくのかなと思いました」、また、小杉企画専門官は「訓練生を送り出している企業の意識が大事。訓練センターで学んだ方々がベテランになった時に、若い方々をまた送り出せるような施設として今後も活躍されることを期待します。自分が現場に出た時には、こういう施設があるよねという話ができれば」と話しました。

山梨会長らと意見交換