国土交通省国土交通大学校の同省総合職技術系新規採用者研修が4月2日、静岡県富士宮市の富士教育訓練センターで行われ、68人の新人が重機の死角体験など、工事作業現場における安全の重要性を学ぶための実習を受けました。
小型移動式クレーンの安全操作を学ぶ
入校式では、センターの運営主体である全国建設産業教育訓練協会の山梨敏幸会長があいさつ。初めに能登半島地震では、会長自身の会社(山ア建設)からも社員を派遣し、道路の啓開作業に当たったことを紹介。また、被災地で国交省職員が厳しい業務に携わっていることに敬意を表した上で、研修参加者も今後、災害が発生した場合に復旧・復興へエネルギーを注ぎ込む業務をしなければならないと指摘しました。
あいさつする山梨会長
さらに、厳しい自然環境にさらされる建設現場で「汗を流している職人にも温かい声を掛けていただければありがたい」とするとともに、「発注者、工事を請け負うゼネコン、ゼネコンから仕事を頂戴するわれわれ専門工事業者、この3者がきちんとお互いをリスペクトしてコミュニケーションをしっかり取って工事をすることが一番大事なこと」と訴えました。
最後に、山梨会長は研修参加者に対して「本当に皆さんの今後の活躍を心から祈念しています。一生懸命頑張ってください」と力強く呼び掛けました。
式後、同協会の菅井文明専務理事がセンターの設立から現在までの沿革、教育訓練の特徴などを説明、その中で「ものをつくる前に人をつくること、人づくりのセンターである」と強調しました。
昼食後、参加者は3班に分かれて、荷の吊り上げ安全作業体験(玉掛け・小型移動式クレーン)や、重機の死角体験・操作、墜落防止用器具(フルハーネス)による安全体験―の3つの実習を受けました。
玉掛け・移動式クレーンの実習では、講師が移動式クレーンのアウトリガーやジブといった構造、ワイヤーロープなど詳しく説明し、「玉掛けは細かい所があり、危険な仕事。クレーンと玉掛け者が息を合わせてやる仕事」であり、「一番大事なのは、しっかり退避することだ」と話しました。
重機の実習では、大型、中型の2台のバックホウを使って行いました。バックホウの回りに円を描いて立たせた人、運転席の真裏に座った人が運転席からどこまで見えるか確認、バックホウの危険が死角にあることを学びました。また、実際に旋回させたり、アームを上下に動かしたり、簡単な操作も体験しました。
重機の死角を体験
墜落防止用器具による安全体験では、器具を前後逆に装着するなど初めての体験に戸惑いもありましたが、ハーネスとともに胴ベルトでの吊下がりを体験するなど、いかに墜落防止器具が重要か身をもって知りました。
フルハーネスを装着