国土交通省の平田研不動産・建設経済局長が9月20日、静岡県富士宮市の富士教育訓練センターを視察するとともに、建設機械の試乗とフルハーネスを体験しました。視察を終えて平田局長は、「建設業における教育訓練の重要性をあらためて感じた。より多くの企業に教育訓練を重視していただけるよう行政としても知恵を絞りたい」と話しました。
バックホウに試乗する平田不動産・建設経済局長
当日は、平田局長の他、宮沢正知大臣官房参事官(建設人材・資材)、神澤直子建設業課建設業政策調整官、建設振興課の松田慧吾専門工事業・建設関連業振興室長が訪れました。
訓練センターに到着後、職業訓練法人全国建設産業教育訓練協会の山梨敏幸会長があいさつし、令和5年度末で訓練センターの利用者100万人日を達成したことについて謝意を示した上で、「建設業界は人材確保に苦労している。訓練センターとしてDX等のメニューを検討したり、今後学生や外国人の教育訓練に一歩踏み込んだ形で関与したいと考えている」と説明しました。
歓迎あいさつする山梨会長(左から3人目)
続いて、加賀美武専務理事が訓練センターの概要を説明。訓練に当たって危険予知シートを作成するなど安全を重視していることを強調した他、相部屋による合宿制が特徴となっていることなどを紹介しました。
食堂で訓練生と共に昼食を取った後、視察に移りました。1、2階の教室、共用棟の浴場、宿泊棟の居室、朝礼広場、屋外実習場、技能実習場、機械実習場などを回りました。また、訓練生が前日に施工したコンクリートますについて、施工の良し悪しの説明を受けました。
視察ではフルハーネスの体験と建設機械の試乗も行いました。訓練センターの國光秀則教務課長から胴ベルト安全帯から墜落制止用器具への変遷について説明を受け、ダブルランヤードを備えたフルハーネス型墜落制止用器具を装着し、フックを掛け替えながら移動したり、低い足場で吊下がりも体験しました。建設機械(バックホウ)の試乗では、同じく訓練センターの空岡陽子主任による作業装置の操作方法のレクチャーを受け、実際に操縦席に座って体験しました。
フルハーネスを装着し2丁掛けを体験
視察後、山梨会長、加賀美専務、米良力校長、高村隆総務部長と意見交換。平田局長や宮沢参事官から訓練センター運営の収支構造、コロナ後のユーザーの考え方の変化、教育訓練後の社員の定着状況などについて質疑応答が行われました。最後に視察の感想として平田局長は「安全あってこその建設業であり、入職したばかりの人たちに教育訓練は重要」との認識を示しました。宮沢参事官は「時代の変化にどう対応していくか。国としてどのようにするべきか考えなければならない」と述べました。また、神澤建設業政策調整官は「発注者にも受注者が無理をしてもできないことがあるということを発信できるといいと感じた」、松田室長は「女性にももっとできることがあると感じた」とそれぞれ感想を述べました。