日本建設インテリア事業協同組合連合会(ジェイシフ連合会、安藤公裕会長)と全国の10協組は2月29日、東京都千代田区の日本教育会館で、「内装仕上工事業界からの提案〜若手技能者の確保育成を図るために」と題して「ジェイシフフォーラム2016」を開きました。この中で行われたシンポジウムに富士教育訓練センターの菅井文明専務理事が登場し、センターの建て替え工事の状況などを紹介しました。
「若者にとって魅力ある内装仕上工事業界とは…」をテーマにしたシンポジウムには、安藤会長、菅井専務のほか、国土交通省専門工事業・建設関連業振興室長の倉石誠司氏、銭湯の女性ペンキ絵師の田中みずき氏がパネリストとして登場。公共建築協会副会長・専務理事の藤田伊織氏がコーディネーターを務めました。
倉石氏は、作業工程分析を行うことで、入職して3年目でもできる仕事があるとして、他産業の事例を紹介。また、「経験欲のある若者は結構いる。建設産業にはその受け皿がない。農業や製造業に行っている。専門工事業としてリクルートする必要がある」と指摘しました。
田中氏は「作業現場に女性がいて当たり前と思ってもらえればいい。子どもがいれば、サポートする体制がうまく回れば女性も参加しやすくなる」。女性の体力が課題となる傾向については「個々人で状況が違うが、内装は女性が参加しやすいのではないか」と話しました。
安藤会長は、職人の評価が不足している現状を指摘し、ジェイシフ連合会の自主管理施工の取り組みである企業内工事指導員、自主施工検査証、床仕上管理士の活用を訴えました。
菅井専務理事は、DVDを映してセンターの建て替え事業の経緯などを紹介しました。また、高校生の段階で建設産業を紹介する機会の必要性を指摘するとともに、センターに研修生を送り出す上で「目的を持たせてほしい」などと話しました。
シンポジウムに先立ち、倉石氏が建設産業の担い手確保策をテーマに講演しました。この中で、中央建設業審議会で始まった議論として「アクティブシニア(高齢者)の方のポジション付けを検討していきたい」と述べました。
特別講演では、銭湯のペンキ絵師の田中氏が自らの経験を踏まえて、残業なしで働くためにスキルを持つ、兼業可の職という「働き方」を提言。その上で「一度企業で働いて、向かないと思った時に、試しにやってみられる現場があればいい。意外と現場の仕事が好きだと気付くことがあるかもしれない」と話しました。
ジェイシフの労働人材委員長を務める岩野商会社長の岩野彰氏は、事例発表として自社の人材確保・育成の取り組みを紹介しました。岩野氏は「誇れることは、教えることを貫いてきたことだ。先代の創業時から寺子屋的な職業訓練をしてきた」とした上で、自社が設立した職業訓練法人岩野建設専門技術協会、その教育訓練機関の「岩野建設専門技能訓練学園」の取り組みなどを説明しました。人材育成をしても「同業者に引き抜かれたり、独立したりした社員は多い。それでもやっていけるのは、1年1年育てていけば良い会社になるのではという思いからだ」と強く訴えました。
岩野氏は担い手確保を巡る最近の動向を踏まえて、沼田テクノアカデミー(沼田市)や職人育成塾(高松市)への期待を披露するとともに、特に富士教育訓練センターについて「われわれにとって最後の砦かもしれない。ここで技能者をしっかり教育されるだろう。これからも楽しみにしている」と話しました。
(写真提供=日刊建設産業新聞社)