富士教育訓練センター

建設産業の優秀な“人づくり”をサポートする全国規模の「広域的職業訓練施設」です。

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2020/04/22

新型コロナウイルス感染症による経済的ダメージへの対応〜富士教育訓練センターを利用される建設事業主の皆様へ〜

 国際通貨基金(IMF)は、4月14日、新型コロナウイルスの感染拡大で、今年の世界経済の成長率がマイナス3.0%、日本経済がマイナス5.2%に落ち込むとの見通しを発表しました。報告書では、1929年以降の世界恐慌以来、最悪の景気後退に直面する可能性が高いとしています。
 また、ノーベル生理学・医学賞受賞者で京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授・所長は、「新型コロナウイルスとの闘いは、1年は続く可能性のあるマラソン」と言っています。
 建設業では、「設備機器・建材の納期遅れ」「契約のキャンセル」「契約の延期」「着工先延ばし」「着工現場の工期延長・引き渡し延長」等の影響が出ているものの、危機的な状況は他産業と比べタイムラグがあります。今後予想される大規模な受注減を予測し、支援策を活用し、事前にしっかりと対策を打つことが重要です。建設業の特質上、技能労働者がいなければ事業が成り立たないことから、技能労働者の雇用を継続し、次のステージを見越した戦略が必要でしょう。
 政府も地方自治体も新型コロナ感染症対策は、過去にない大掛かりなものを用意しつつあります。これらを有効に使い、乗り切りましょう。建設事業主に有益な支援策は、次のようなものが打ち出されています。
1 経営相談窓口
  中小企業関連団体、支援機関、政府系金融機関等1,050拠点に「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」を設置し、経営相談を行います。多くの地方自治体でも実施されるでしょう。
2 専門家による経営アドバイス(中小企業基盤整備機構等)
  資金繰りだけでなく、売上げの拡大や経営改善、ITツールの導入など、全国47都道府県のよろず支援拠点において、専門家が何度でも無料で、様々な経営相談を行います。多くの地方自治体でも実施されるでしょう。
3 セーフティネット保証、危機関連保証(信用保証協会)
  通常の融資は、一般保証枠での対応ですが、今回はコロナ危機を乗り越えるため別枠で資金繰りのサポートを受けることができます。
  一般保証枠(2.8億円)+セーフティネット保証(2.8億円)+危機関連保証(2.8億円)となります。
   セーフティネット保証は中小企業信用保険法第2条第5項に基づき整備されたもので、経営の安定に支障をきたす各要因によって、1号から8号までが定められています。都度、エリアや業種の指定がなされますが、今回のコロナ対策としては4号(令和2年3月2日指定、保証割合:借入債務の100%)、5号(令和2年3月23日指定、保証割合:借入債務の80%)が対象とされています。
  さらに今回は、大規模な経済危機、災害等による信用収縮への対応として全国・全業種に対して危機関連保証が、売上高が前年同月比マイナス15%以上減少する中小企業・小規模事業者に対して別枠で措置されます。
4 新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫)
  「新型コロナウイルス感染症特別貸付」が金利、返済据置期間、貸付期間などの条件からセーフティネット貸付など他の貸付より有利となっており、これに「特別利子補給制度」を組み合わせると、実質的な無利子化が可能となります。
【融資対象】
@ 最近1ヵ月の売上高が前年または前々年同期と比較して5%以上減少
A 新規設立や多額の設備投資を行っているために単純に過去との比較ができない場合は、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少
@ 過去3ヵ月(最近1ヵ月を含む)平均売上高
A 令和元年12月の売上高
B 令和元年10月〜12月の売上高平均額
【融資限度額】6,000万円
【貸付期間】最大15年(設備資金は20年)
【据置期間】最大5年
【金利】3,000万円まで当初3年間は0.46%(ただし条件を満たすと3年間は利子補給により金利0%)、4年目からは1.36%
【利子補給期間】3年間
5 持続化給付金(相談ダイヤル0570ー783183)
  資本金10億円以上の大企業を除き、中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者を広く対象としています。
  今年1月から12月のどこかの月の売上が、去年の同じ月の50%以下に減っていれば支給対象となります。落ち込んだ月の売上が1年間続いたと仮定し、去年の売上との差額分が支給されます。Web上での申請が基本の助成金です。
  給付額は、去年1年間の売上 − 半分以上減った月の売上 × 12ヶ月
 (上限:法人は200万円、個人事業者は100万円)
  補正予算で措置される給付金であるため、4月中に国会へ補正予算案が提出され、月内の成立を目指すとしています。
6 雇用調整助成金(都道府県労働局)
  雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当の一部を助成する制度です。
  新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、雇用調整助成金は令和2年4月1日から6月30日までの間、特例として手続きが大幅に緩和され、支給率等も引き上げられています。今後、延長の可能性がありますので、注意を払ってください。
  特例では、
@ 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主は、中小企業で助成率が4/5(大企業で2/3)に引き上げられます。
A 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主で、かつ、解雇・派遣切りをしていなく、賃金締切期間の末日における事業所労働者数と比較期間(2020年1月24日から判定基礎期間の末日まで)の月平均事業所労働者数と比べて4/5以上の要件を満たす事業主は、さらに9/10(上限8,330円、大企業で3/4)に引き上げられます。
B 休職期間中、教育訓練(自宅でインターネット等を用いた教育訓練を含む)を実施した場 合、加算額が中小企業の場合2,400円(大企業1,800円)引き上げられます。
C 受給のための要件も緩和され、生産指標(売上高)の要件は、対象期間の初日が緊急対応期間である令和2年4月1日から令和2年6月30日までの間のどこか1ヶ月で、5%以上の減少があれば申請可能です。対象労働者は、正社員以外に雇用保険に加入していないパート、アルバイトも対象となります。もちろん助成金なので返済不要です。
D 元々の雇用調整助成金は、「労使協定の締結」→「計画届の提出」→「休業の実施」→「支給申請」→「助成金支給」の流れですが、特例では計画届の提出が、事後(6月30日まで)でも可能となっています。
E 申請書類が大幅に簡素化(自動計算様式、提出書類約5割削減)されています。
【注意点】
@ 休業手当は給与の6割〜10割が必要で、年次有給休暇は対象外です。
A 助成金の対象となるには、休業して、休業手当を支払うプロセスをしっかり記録に残すことが必要です。給与簿等に休業控除と休業手当を明確にすれば、支給申請がスムーズにいきます。
  
7 小学校休業等対応助成金(学校等休業助成金等コールセンター 0120-60-3999 )
  小学校休業等対応助成金は、令和2年2月27日から6月30日までの間に新型コロナウイルス感染症に関する対応として、ガイドラインなどに基づき、臨時休業などをした小学校などに通う 子ども、新型コロナウイルスに感染した子どもなど小学校などを休む必要がある子どもの世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対し、有給(賃金全額支給)の休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く)を取得させた事業主に対する助成金です。
  助成内容は、有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額の10/10(上限8,330円)で、申請期間は、令和2年9月30 日までです。

※ 本記事は、現段階で、公表されている資料で制度をまとめています。今後、国の補正予算成立後実施される新たな制度なども、正式に決まりましたら逐次追加、修正していきます。




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