富士教育訓練センター

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2017/05/22

清水建設ものづくり研修センターを見学 橋本講師の講演も 東日本建築教育研

 工業高校の教師で組織する東日本建築教育研究会は5月17日、建設業の現状理解を深めるため、ことし4月にグランドオープンしたばかりの清水建設ものづくり研修センター(東京都江東区、当麻茂尚校長)を見学しました。施設を見学するとともに、鉄筋や型枠大工、鳶、左官の4職種の職長さんと富士教育訓練センターの橋本学講師の講演も聞きました。
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 ものづくり研修センターは、清水建設全社の現場力向上を図る目的で建設、昨年10月に完成し、ことし4月から同社の建築施工系社員だけでなく、文系も含めた全社員の他、取引業者の建設技能者の育成にも活用するとして本格オープンしました。
 開会に当たって、東日本建築教育研究会の小島聡副会長(千葉県立市川工業高校)が、建設業界との接点を失い業界理解が疎かになっている現状を訴え、今こそ「幅広く建設業へ人を送り出していた、かつての工業高校に戻るチャンス」と呼び掛けました。
 続いて、同センターの当麻校長がセンターの施設概要と設立趣旨を説明しました。この研修センターは「創業者清水喜助翁のものづくりの心を継承する場」であり、宮大工が旨とした「五意達者にして昼夜怠らず」(五意とは式尺〈設計〉、算合〈積算〉、手仕事〈実地の工作〉、絵様〈彫物の下絵〉、彫物〈彫物の実技〉の意)を心がけ、更にその全てに熟達したリーダーたれというのが教育指針でした。その原点を踏まえ「現代版の五意達者を体得し、ものづくりのプロセスの全貌を把握した現代の棟梁を目指すことが大切だ」と話しました。
 センターには「鉄筋・型枠」、「鉄骨・外装」、「PCa」の三つのモックアップゾーンがあり、それぞれ実物大の施工中の構造躯体を設置しています。研究会のメンバーは、鉄筋・型枠ゾーンでは鉄筋結束も体験しました。
 見学後、清水建設協力会社の大倉野裕樹さん(西村工業所・鉄筋)、幾世橋忠伸さん(マエバシ・型枠大工)、樫野貴人さん(金子架設工業・鳶)、鈴木英男さん、鈴木太一さん(いずれもホソイ・左官)の5人の職長の皆さんが、それぞれの仕事の内容、魅力などを語りました。
「達成感が堪らない。俺たちがやったんだと誇りに思う」(大倉野さん)、「難しければ難しいほど完成したときに感動する」(幾世橋さん)、「うちがいなければ皆さんの仕事ができない。」(樫野さん)、「建物が残っていることが素晴らしい」(鈴木英男さん)、「素人ではできない仕事であり、80歳になってもできる」(鈴木太一さん)と、それぞれの思いを訴えました。
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 続いて、富士教育訓練センターの橋本講師は、「建設業の現状と今後」と題して講演しました。最近の新入社員は「LINE世代」であり、挑戦意欲や発想力が乏しい傾向があると指摘する一方、生徒の就職指導に際しての「なるべく大きな会社に」「転勤がない」「企業担当者と懇意にしている」といった企業の選定の在り方が「余りにも(生徒にとって)受け身な取り組みではないのか。生徒に自分自身で将来を考えさせるべきだ」と話しました。
 橋本講師は、看護学校の戴帽式にならって建設業でも「建設従事者として歩んでいく決意の場のような儀式があったらいい。生徒たちに腹をくくらせてあげたい」と提案しました。
 意見交換では、学校側から体験学習の要望が多く出され、これに対して清水建設、協力会社から前向きな回答が出されました。また女性の活用について心配している学校に対し、職人としてではなくても見積もり・積算業務、CADオペレーターなどの業務があるとした他、トイレなどの施設も整備されている現状が紹介されました。
 清水建設の志村康久育成部長は、東京オリンピック後もリニア新幹線やインフラの刷新など建設需要があることを強調し、生徒を送り出す学校側の不安を払いました。


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